砂と鉄

よく分からない備忘録たち

折本を作ってフォントを確認してみる

同人誌を作っていると、よく迷う・よく調べられていると感じるのが「フォント」です。

無料・有料まで様々なフォントがあり選択肢に迷う一方で、確固たる正解はないという状況なためにかなり迷ってしまうとわたしも感じています。

そのため、今回は「実際に印刷をしてフォントを確認できる折本のデータ」を作ってみました。

折本のため、実際に本にしたときの印象とは違うと思いますが参考にしていただければと思います。

 

※PDFの編集は「一太郎2021 プラチナ」に付属の「JUST PDF4」を使っています。

 

 

 

 

折本データを作る

一太郎で扉、本文、奥付を作る

f:id:oxoxoxoxy:20210412221821p:plain

今回は一太郎の操作に慣れる練習も兼ねて、一太郎で作成してみました。

作成した際の画面は上の画像の通りです。

 

折本の構成は以下の形にしました。

・表紙(折本の説明)

・同じテキストを1Pごとに6つのフォントに分けて本文として掲載
 ・MS明朝
 ・游明朝
 ・FJS-UD明朝Pr6N L(「一太郎2021 プラチナ」付属)
 ・しっぽり明朝
 ・FJS-筑紫明朝Pr6N L(「一太郎2021 プラチナ」付属)
 ・FJS-筑紫Aオールド明朝Pr6N L(「一太郎2021 プラチナ」付属)
 上記の6つのフォントを今回は利用しました。

・奥付

※上下左右のたちきりの設定はしていません。

 

サンプルとして使ったのは、次のテキストです。
江戸川乱歩『赤い部屋』、青空文庫、2016年6月10日作成

www.aozora.gr.jp

 

扉・奥付を作る

f:id:oxoxoxoxy:20210412222147p:plain

「書式」→「ページスタイル/中扉/奥付」→「中扉の設定」または「奥付の設定」でデフォルトの扉・奥付の設定を選び、書いた表紙・奥付部分のテキストを選択して作りました。

 

 

本文(各ページのフォントやヘッダーを変える)

f:id:oxoxoxoxy:20210412222457p:plain

「書式」→「ページスタイル/中扉/奥付」→「ページスタイルの設定」で各フォントに合わせて設定を作成し、本文のテキストを選択して作っていきました。

この設定をすることで、ページスタイルごとにヘッダーなどの設定ができるようになります。今回は、これで各ページごとにヘッダーを変えていっています。

 

備忘録

一太郎」が「Word」と違っている点は、こうした「ページスタイルを設定する」という機能に依拠する部分が大きい点だと感じました。

「Word」もスタイルの設定がありますが、別の設定からヘッダー・フッターなどを入れたい場所のみに入れられます。(セクションという概念で設定しています。)

「Word」の方が一括で設定できないために面倒・手間が掛かるかもしれませんが、「一太郎」はページスタイルの設定が必要なので、一度設定を作った後にこうした設定をいかに効率よく使っていけるかがポイントなのかなと思いました。

逆を言えば、「ただヘッダー・フッターを各ページごとに変えたいだけ」という場合でも、「一太郎」はページスタイルから設定しなければいけないという点にもつながる…? 気もしました。(これを長所・短所とするには時と場合、使う人によると思いました。)

 

 

折本のデータ(PDF)を作る

今回は「一太郎」の機能にある「アウトプットナビ」から折本のPDFデータを作って生きたかったのですが、なぜか作ると真っ黒のPDFが作成されてしまいました。

そのため、今回は「自分で折本の面付けをする」という方法を取りました。(本当は「アウトプットナビ」の一発で自動で作れる機能を試すつもりでした…楽なので…)

 

一太郎」で作成したデータをPDFとして保存する

f:id:oxoxoxoxy:20210412223719p:plain

「ファイル」→「他形式の保存/開く」→「PDF保存」を選択して保存します。

 

 

f:id:oxoxoxoxy:20210412224148p:plain

「JUST PDF4(編集)」で確認すると、このようなデータができます。

 

 

「JUST PDF4(編集)」でA3の形に結合していく

印刷したときに折って本になる形になるように面付け(配置)をして、一枚になるようにしていきます。

折本と言っても、いろいろな面付け方法があるので、調べるとたくさん出てきます。

今回は「一太郎」の「アウトプットナビ」の画面を参考に貼っておきます。(どのページが折本の説明として分かりやすいのか、わたしには分かりませんでした…)

f:id:oxoxoxoxy:20210412224718p:plain

 

先ほど作ったPDFを「JUST PDF4(編集)」で開き、「編集」→「ページの結合」から結合し、折本の面付けになるようにしていきます。

f:id:oxoxoxoxy:20210412224931p:plain

 

 

いろいろして、折って本ができるように面付けできました。(これを作るまでにかなり失敗もしていますが…)

A3で印刷して折っていくことで「A6の8Pの折本ができるデータ」が、これで完成です。

f:id:oxoxoxoxy:20210413122557j:plain

 

 

印刷をして折本を作る

印刷をする

今回はコンビニで印刷をしてきます。

ネットプリントに登録、USBなどの媒体に保存して印刷をします。

このあたりは調べれば詳しく出てくるので、利用するコンビニやサービスに応じて調べてください。

今回は次の設定で印刷をします。

・白黒(カラーの必要がないため)

・片面

・A3(折ってA6にするため。A4で印刷すると、折ったときにA7になります。)

ここで必要なものは、印刷するデータと小銭くらいです。

 

 

折って折本を作る

 印刷した紙に折り目をつけて、真ん中に切れ目を入れて本の形に折っていきます。

f:id:oxoxoxoxy:20210413184717j:plain

折ってこのような形になりました。

久しぶりに作ったので「本だ...!」と感動しました。

 

f:id:oxoxoxoxy:20210413184743j:plain

中身はこのようになっています。

それぞれのフォントの特徴が紙で確認でき、作ってみて想像以上にいいと思いました。

 ・MS明朝
 ・游明朝
 ・FJS-UD明朝Pr6N L
 ・しっぽり明朝
 ・FJS-筑紫明朝Pr6N L
 ・FJS-筑紫Aオールド明朝Pr6N L

今回の折本で使った上記のフォントですが、どれもきれいに印刷できました。

そして、どれも特徴がありますが、読みやすいと感じました。どれかのフォントが特に読みにくいといったことは感じません。 

 

一度作ってしまえば、元のデータのフォントを変えるだけで他のフォントを確認できるデータも作れるので、小説同人誌を作る前にフォントの感覚が知りたいときに印刷してみるのがいいかもしれません。(一度作るのが大変ですが…)

 

 

作った折本のデータ

こちらに置いておきますので、ご自由にダウンロード・印刷して折本を作ってみてください。

PDF形式とjpg形式があります。

他にもフリーフォントの比較などができそうでしたら、他のフォントを使った折本のデータも作るかもしれません。

 

《2021/4/26 追加》

別のフォントを利用したデータを作成したので、追加しました。

 

 

今回利用したフォントについて

 ・MS明朝
 ・游明朝
 ・FJS-UD明朝Pr6N L
 ・しっぽり明朝
 ・FJS-筑紫明朝Pr6N L(「一太郎2021 プラチナ」付属)
 ・FJS-筑紫Aオールド明朝Pr6N L(「一太郎2021 プラチナ」付属)

この6つのフォントですが、私は「MS明朝」「筑紫明朝」「筑紫Aオールド明朝」を利用して原稿を作成したことがあります。

 

《2021/4/26 追加》

・さつき源代明朝
・源暎こぶり明朝
・源暎ちくご明朝
・IPAex明朝
・錦源明朝 Light
・アプリ明朝

以上のフリーフォントを利用した折本のデータを追加しました。

 

 

フォントの可読性についてあまり詳しいことは分かっていませんが、個人的に読みやすい・作品の雰囲気に合うと感じているフォントを利用しています。

 

上記のフォントですが、無料・有料かは環境で変わってくるかと思いますので、申し訳ありませんが調べてください…

ただし、今回使用した「UD明朝」「筑紫明朝」「筑紫Aオールド明朝」は、私の場合は有料でした。(「一太郎2021 プラチナ」に付属しているフォントです。)
「しっぽり明朝」フリーフォントとして配布されています。

 

個人的にはこういったフリーフォントを本文に使うと、縦書きでレイアウトが崩れる、「Word」でうまくPDFにできないといったことがかなりあったので、ワープロソフトに付属しているフォントや有料フォントをおすすめしています。(※利用については規約などをご確認ください。)

フリーフォントを使った原稿を入稿する直前で「うまくPDFにできない!」「PDFにするとレイアウトが崩れる」などのひやひやした経験がわたしにあるだけで、小説同人誌に利用されている方はいらっしゃいます。

そのため、フリーフォントを小説同人誌に使いたい場合はこの記事ではなく、他の記事を参考してください…

 

 

「MS明朝」を小説同人誌に使うメリット

「MS明朝」が小説同人誌に使わない、使わない方がいいという意見もあるらしいですが、「そういう考えがあるのか」くらいでいいとわたしは思ってます。
「MS明朝」を使っても、読むことに支障はないと思っているためです。

それでも、無料で使いやすい「MS明朝」を使うべきではない・使う本は読まない(=使うことに対して圧を感じてしまう。)印象を少しでも変えて、気軽に小説同人誌を作ってもらえるといいなと思います。

そこで、「MS明朝」のメリットを考えてみます。

「MS明朝」は「Word」との相性もいいので、安定して縦書きにも利用でき(縦書きで表示が崩れることがない)、PDFにしたときもレイアウトが崩れにくいです。
そのため、同人誌を作るときに何も分からない段階で、ひとまず原稿を作るのが目標の場合には「フォント」「PDF」についての学習コストを減らすことができます。

原稿に慣れてきて、「フォント」「PDF」について調べる余地が出てくるまでは、「MS明朝」を使うという選択はメリットになり得るかもしれません。

 

 

利用したフリーフォントのリンク

利用にあたっては、配布先の規約や説明をお読みください。

しっぽり明朝

さつき源代明朝

源暎こぶり明朝

源暎ちくご明朝

IPAex明朝

錦源明朝 Light

アプリ明朝