砂と鉄

よく分からない備忘録たち

映画『PARALLEL』の感想

映画『PARALLEL』の感想です。

・映画の内容について触れています。

・監督の過去作についても書いています。

 

parallelmov.html.xdomain.jp

 

 

 

 

映画『PARALLEL』

1回目の感想

www.fya.jp

※上記の内容を転記しています。

 

1回目は本当にぎりぎり最終日で見に行き、あまりに最高すぎて帰りながら感想を書いていました。

ちなみに、当時引っ越しなどで物を増やせずにパンフレットなど物販で何も買わなかったのですが、この判断を2回目の鑑賞ができるまで半年以上後悔することになったのでした。

このことから「後悔したくないなら推せるときに推す」を心に掲げて、推しの出ている円盤を買い漁り、〇〇年前の作品の同人誌も諦めずに探し回り、映画も見れるだけ見るようにしています。

(これだけ書くと、普通に怖……と思いました。)

 

短めの作品ですが、濃密すぎて2〜3時間の映画を見ている気持ちになりました。
悪い意味で長く感じることはありますが、いい意味で長く感じることはあまりないため見ている間(これ、どうなるんだろう?)(今自分は何を感じているんだろう? うまく言葉にできない感情がどんどん出てくる)とずっと考える珍しい状態でいました。

・殺人の描写がしっかりしつつも、さらっとカットするところはカットしていて過激なホラー、スプラッタ映画としてだけではなく、人間模様や苦悩、愛などの物語とめちゃくちゃ合っていて全体的なバランスがすごかったです。
エグい描写を突き詰めれば痛そうなホラー映画としては名作ですが、さらにその一歩先を行った「殺人や自傷行為など痛々しい場面がかなりあって序盤は共感しにくいと思っていたのに、見ている間にだんだんと主人公たちの苦悩に共感し、幸せになってほしくなる」という物語に深みを持たせていてすげ〜!!と思いました。
(ホラー映画を見るうちに、スプラッタ描写を視覚的に徹底すれば必ずしも傑作になるとは思わなくなっています。なぜスプラッタな描写やホラーという要素を入れるのか? 恐怖に合わせてどう物語を見せたり、印象を深めるのか? という面もしっかり面白かったり、『こういう表現を突き詰めたい!』と製作陣が考えているのが伝わってくるホラー映画は傑作になるのかな~と考えています。)

児童虐待の描写と、同じ部屋で親が殺害された主人公まいの恐怖、諦め、救いの重さが凄まじかったです。
あの殺人鬼シンジは一体何を考えて実行したのだろう? どうしてまいを手にかけなかったのか?(虐待されている子どもを助けたかったから?)や、殺人を犯したシンジの細かな説明がないため後世で都合よく解釈されて消費されてるのが怖いかも...でも、誰かの救いになっているのならばいいのか...?(事件の犯人を救世主というか、救いを見出すのって危ないなと考えています。なぜなら被害者がいて、その人本人がどう思うのかとかいろいろ複雑だと思うためです)などたくさん考えさせられました。
まいが虐待する両親から解放されるという意味でシンジに助けられたのと同時に、みきおはシンジの起こした事件から人造魔法少年シンジを創り出して救いや今までずっと悩んでいたことに対する答えと最終的になる奇跡的な愛に出会えたこの物語に対して、自分が感じたことを自分はまだ言葉にできそうにありません。

・異性への暴力と同性への暴力の解像度が高い...
男性→女性、女性→女性、男性→男性の面と向かってではない、物陰で隙を狙って襲うような陰険かつ相手を弱者と見下してする暴力の描写がメインではないのに、解像度というか「実際にありそうだし、あるだろうし、でも誰であってもこんなことしてほしくないし、誰であってもこんな目にあってほしくない!」と思わされました。
↑でメインではないと書きましたが、冷静に考えたらまいへの両親による虐待やみきおも家庭環境がよくはなかったと想像される語りに、「弱者への無邪気な暴力」は結構メインテーマでは? と考え直しました。

・みきおって人造魔法少女カイニの原案出してるの?!同人誌とか出してよ!と思いました。
造形の才能もありそうだし、個展とか開いたりしていれば殺人を介して自身の救済を見出す道を進むこともなかったのかなと考えてしまいました。
殺人を介しての表現を選んだみきおを簡単に否定するわけではありませんが、みきおには想像力があるし、それをまとめて誰かに伝えられるし、コミュニティにも入れるし...みきおさんって結構行動力があるので同人誌とか、創作活動で才能を発揮してほしいです。
あと監督と話すときの監督の理解力の高さとか、みきおの迷いとかがすごくはらはらして応援したい気持ちになりました。
監督はオタクに理解力がありすぎてそんなに登場しないのに、印象深くて好きです。優しい、監督...

・みきおに裏切られた殺人鬼グループの人たち、かわいそうだな...
みきおに恋人ができたことがきっかけで、頑張っていろいろしていたのに唐突にみきお裏切られて殺される人たち、本当にかわいそう...
みきおに裏切られた人々にとっては当然の怒りなのですがみきおを邪魔するな!という気持ちとそりゃ裏切られて殺されるくらいなら反撃するな...と理解できて感情がぐちゃぐちゃになりました。
(でも、みきおにとっては一人でバチバチに人を殺して、殺害した人々を変身させて動画をアップロードとかしているのに、他の人はアカウントめちゃくちゃ作って...とかだったら「は? その程度で何やったつもりになってんだ?」と苛ついていて自分の邪魔になったら殺してもいいかと思えてしまったとか...?)

・みきおがガチガチの陰キャとかではそんなになくて、目的のためならバーにいけるし、デートもできるし、部屋に来たまいに早口オタクにもならずに一緒にアニメ見れるのは人間力がありすぎて眩しくなりました。
オタクの部屋に行ってアニメを見てくれるまいも優しい...あと人造魔法少年という概念にテンションが上がりました。人造魔法少年シンジがめちゃくちゃ好みのキャラだったので!
あとまいの男性に女装してもらう場面で、(女装した男性ってなぜか好きだな。中性的で気になるというか...)(まいのトラウマの傷が深そうで心配)と思いました。

・まいの長髪(女装した男性)が好きそうなところに、かつて虐待していた両親を殺したシンジを慕う(または安心する?とか)気持ちがあるんだと少し寂しくなりました。
寂しいというより、割り切って「パパ、大好き」と言えないときがあったり、気が進まないハグをするなら長髪の相手でという場面で、女性性を切り売りする男性側の邪悪さ(女性性を買えると思っていることへの嫌悪とか、言葉にできない嫌という感覚です)や、父性を求めたいけれど過去によって歪んでしまった家族観への共感や苦しさなどを含むと思います。
ただ作中で言葉少なく場面や演技でここまで深みを出せるのはすごすぎて最高です。(こういうのをあからさまな言葉やセリフで語られるのはあんまり好きではありません。言葉で簡単に語れないから他の手段を使うイメージが私は強いからかもしれません。)

・みきおの武器って、人造魔法少女カイニが使ってたの?!となりました。
みきおオリジナルの武器ではなくて、カイニが使っている原作のファングッズだったとは...みきおが人造魔法少女の原案者であるなら、みきおが使う武器は公式なのかもしれませんが。

・みきおが武器のエンジンをかけるごとに、流れていたBGMがやんで代わりにギュイーンと武器の出す音に変わるのが(あっ、これで人は死ぬんだ。これから人が死ぬんだ)(これ、BGMが流れる作品ではなくて現実なんだ)と感じてぞっとしました。

・アクションシーンは少なめですが、しっかりしていてへたなアクション映画よりも見やすくて好きです。
あと特別協力?か何かでエンドクレジットに伊澤さんのお名前があり、(あっ!?)と驚きました。『ベイビーわるきゅーれ』が好きなので...

・作品本編が終わってからの人造魔法少女カイニを見て、カイニがんばれー!!とカイニのオタクになりました。
それにしても、この終わり方で魔法への答えがまいに返っていくのがすごすぎて好きです。

・魔法みたいな何かで助けてほしくて創作世界を現実世界に反映させようと足掻いてどうにか助けはないかと願っていたいたみきおと、偶然から助けられたけれども過去の苦しみから抜け出しきれずにもがくまいの出会いは奇跡だったなと最後に泣いていました。
自分の救いのために作ってきたキャラクターや仮面を信じたみきおが、まいとの出会いで自身の考えに少しずつ変化が起きたのも、まいがみきおと出会って弱さを見せて誰かに伝える勇気があったのも、過去に殺人や虐待があって辛い現実の中でも奇跡(救い)を信じていたから自身でチャンスを掴めたのではないだろうか?と思っています。
(みきおは苦悩に任せて人を殺し続ける殺人鬼になってまいを殺してしまう可能性だってあったはずで、まいもみきおに向き合わずに自分の傷や過去を隠し続ける可能性だってあったはずで、こうした可能性は救いがあってほしいと信じるのをのをやめるよりずっと簡単だったかもしれない...救いや魔法や、生きる意味を信じて求め続けるのは苦しいかもしれないけれども、信じるのをやめていればまいとみきおは出会って歩み寄れなかったかもしれない...と思うと、苦しみに諦めきって絶望しきらずに生きていたまいとみきおの意思と愛の結末に改めて感動します。)

・みきおの名前が「美喜男」で、どうして生まれたんだろう? どうして作ったんだろう? という作中の言葉が痛々しいほど刺さりました。
すごく幸せを望まれたであろう名前だと見てぱっと分かるのに、みきおの背景にはきっと虐待などがあったんだろうと窺わさせる重みがすごかったです。

・最後に力尽きたみきおに寄り添うまいの姿が美しすぎて、ある一種の宗教画を見たような気持ちになりました。
(宗教画を見たような気持ちは、自分の感じたことを理解しきれなくて言葉にはしきれないけれども、本能的な部分で尊さや気高さ、崇高だと感じるものに接したときの気持ちです)

 

 

2回目の感想



 

 

・シンジによる殺人が起こる場面から既に、「やっぱり、この父親は性的虐待もしてそうだよな……」と改めて感じてぞっとしました。
母親も自分に暴力が来るのを防ぐために娘を一緒に虐待しているのかも……などいろいろ考えさせられます。

 

・シンジがまいのいる押入れの鍵を破壊する場面で、鍵が床に落ちたところで(押入れの戸の木片も落ちている?!原状回復費用とか大丈夫なのだろうか……)と思っていたのですが、上映後挨拶で監督自身のご実家が諸事情で取り壊されるため血糊も大量に使って大丈夫だったと聞いて安心しました。
安心と「えっ!?そんなタイミングのいいことあるんだ……すごいな……いろいろ……」と思いました。あと何でも映画撮影に使っているのをパンフレットで知ったため、スポンサーになれるくらいの財力が私にあれば……!と悔やみました。
私に財力があれば全国で上映させて、メイキング映像を全部収録した円盤を販売して、グッズももっとたくさん作って人造魔法少女カイニのぬいぐるみが欲しいです!(完全に私の欲望と妄想しかないです。)

・上映後の挨拶で俳優さんが血糊係をしていたと聞いて、本当に低予算なんだ……と驚きます。
いろいろ低予算、自主制作映画は見ていますが、空気感とか雰囲気みたいな感覚で感じる範囲に「予算が少ない」がまったくないので……
(映像作品は時代に応じたCGのクオリティとか、小道具、背景、移動の多さ、アクション、エキストラの多さ、出てくる人物の多さ、服装、メイク、血糊などの液体等々に素人目でも予算を感じますが、私はこの作品が自主制作と知るまでスポンサーがついた映画だと思い込むくらい低予算映画と思えませんでした。作品全体に卒がなく丁寧に作られているとか、削るところは削ってもクオリティに影響が出ないよう効率化しているのかなとパンフレットを読んで思いました。)
『いずれあなたが知る話』『無垢の祈り』などもシネコンでかかるような映画と比較すれば予算が少ない作品ですが、本当にそれが信じられないくらい素晴らしい映画で見たときびっくりしましたが、『PARALLEL』も本当に見ていて低予算とは信じられません。
(低予算だからといって、低予算らしくないものを作ってほしくないという意味ではありません。ただ、熱量や見せ方、工夫次第では低予算であろうが素晴らしい作品は素晴らしくなるから、素晴らしい面は予算などという無粋な面より作品に魅入ってしまうみたいなのかな……とか自分で考えていました。本当なら熱量のある製作陣には予算がたくさんあって、余裕のある撮影ができるのが理想だと思うので……『映画の朝ごはん』を見たのでなおさら思います。)

・シンジの問いかけに対してまいが答えたのが、恐怖によるものなのか、素直な感情からかは分かりませんが、あそこの場面はお互いが偶然に出会い、殺人を介してしまいながらも救いになったのかもしれないのが印象的で、いいとは言いきれないのですが二人が出会ってよかったと思います。
(タイトルの由来をパンフレットで読んで、人と人は分かりあえないかもしれないけれど、法や倫理で許されない方法や手段、単なる偶然であっても誰かに救いを与えたり、誰かから与えられたりして、生きていたり、変わっていったりするのかもしれないと思います。当人が想定していなかったことでも、ちぐはぐに何かが噛み合って誰かの助けになっているかもしれないとここの場面では考えました。)
(殺人に救済を求めたり、目の前で保護者を失った子どもの返答が正しいかは分からないけれど、それが本人にとって救いになるのであれば、どんなものであっても尊いとか、ありがたいと思うのは自然な感情なのかもしれないと考えていました。)

・まいが強くなりたいとか、襲いかかってきた人を退けられたのはいいとして、「酔った勢いで」とかの言い訳が最悪でこういう現実にある最悪な暴力性の映し方がうまくてすごいです。
(最悪な暴力性は「何が」「どう」「悪いのか」を理解しようとしていないと、加害者側を擁護する、加害者を退けられたのならいいだろうと被害者をないがしろにする場面を入れられてしまうことがあり、不安になります。この作品は暴力に対して加害側・被害側がしっかり表現されていて、ホラーで怖い場面もあるのに倫理的には安心して見られてすごい作りだと思います。ヘイトコントロールとか、人が傷つく表現が本当にすごすぎる。)

・襲われたときにまいがカッターらしい武器を出しているのは、正当防衛が過剰防衛になるかも……と心配しつつ、ここで武器を取り出して持てること自体がとても強いなと実感しました。
(襲われたときって、武術経験者とか戦いやトラブル、喧嘩に慣れているのではないと、痛みとかに対応できずに恐怖に飲み込まれてしまい、手が震えて武器をろくに握れない状況がある気がしています。なので、まっすぐ立てて武器を持てる時点で強いと私は感じました。)

・あと改めてこの映画全体のアクションが本当に……きれいで……まいのパンチもきれがよくて最高です!
アクション映画ではないのにこのクオリティって一体……?
きれいなアクションが大好きなので、「こんなに見ていいんですか……?!」と最高でした。

・私もフィットボクシングを頑張って強くなりたい!と見ていて思いました。強くなれなくても、せめて健康になりたいです!
なぜならまいとみきおがめちゃくちゃかっこよくて、かわいくて、憧れているからです。

・家に帰ったまいが泣いてしまうところとか、怪我した足にすごく嫌そうにするのがリアルで辛かったです。
(あとみきおが貼ってくれた絆創膏との対比に気がついて、この作品の脚本?構成?のうまさに驚きます。倫理的にも物語的にも安心して見られる映画は、海外だろうが、お金をいくらかけようがなかなかできない貴重なものだと考えているため、この作品が見られて本当によかったです!)
(それにしても、本当に体格差などで有利に不利がはっきりしている場合に、不利な側に有利な側が襲いかかる吐き気を催す悪意が生々しくてすごい……)

・各登場人物の部屋がみんなおしゃれでかっこいいな〜!と思います。
特にまいの家は家電の置き方(冷蔵庫の上にレンジを置いて、その上にトースターとケトルをさらにおいている)のがリアルな一人暮らし感があって好きです。
ネオンとかで装飾されているのがすごくかわいいのが、エンディング後の人造魔法少女カイニが終わってから、人造魔法少女カイニのポスター(サイズからポスターより別のグッズかもしれませんが)を背景にした部屋になっているのも、みきおと出会ってからまいの気持ちに何か変化があったのかなと想像してしまいます。
(異性を利用することで、自分の価値(女性、性的な側面で)を確かめていたことが、もっと内面というか、みきおが好いてくれたものに価値を置くようになったのかなと思いました。)

・コスプレ殺人鬼に殺されるまいを襲った人を見て「あっ!『チャンゲ』の主人公を演じた方では……?」となったりするので、監督の過去作も一緒に見られてよかったです。
あんなに『チャンゲ』でかっこよかったしゅんやくんがこんな気障で嫌な感じのちょっとおらついた人物になるなんて……演技とか俳優さんって本当にすごい……
(演技などに全然詳しくないので、俳優さんはみんなすごい!カメラに映っているのにこんなに自然な感じになるなんて……と思います。)

・改めて見ると、殺される側がすごく混乱している様子がリアルで怖かったです。
恐怖感や相手の敵意をを紛らわせるために、必死に機嫌を取っている感じとかが……
ビニール袋で窒息させるところや、みきおのいらつきや焦りも生々しくて一度見たのに怖くてすごかったです!

・みきおが人造魔法少女カイニのオープニングを映したモニターを凝視して、モニターを持ってくるくる部屋を歩くのが美しいというか、本当に好きなんだ、とオタクなので分かる!となりつつも「こんなに誰かが何かを好き!な状態を見ていいのだろうか……」と罪悪感も湧きました。

・殺人の場面がやはり全体を通して、生々しいというか「人を殺している」のを重々しく映していてすごかったです!
ホラー映画だとコメディっぽくするのは簡単でも、本当に人が亡くなっているとぞっとさせる描写は難しいのでは?と最近考えているのですが、この作品は「あ、死ぬんだ……」と本当に絶望します。
特に最後の著名人三人を殺す場面で、BGMが武器のギューンという音にぱっと切り替わるのは何度見ても恐ろしいです。

・バーでのみきおが本当に頑張っていて、陰鬱なオタクの私から見ると「みきおって、本当に……陰鬱な人でも、気持ち悪いオタクでも、サイコパスでもなくて、人と関わりたいけれど自分の抱えた傷でうまく動けなくなって傷を乗り越えられないから現実で変身したいと足掻いているのでは……?」と感じました。
みきおは自分の感じたことに向き合うし、目的のためにはまいともコミュニーケーションを取って一緒に行動できるのが、本当にすごいというか……
行動せずにうだうだ文句を言う人より、ずっと動いてもがいてどうにかしたいと思っていることが、かっこいいと思いました。
(それが殺人という行動になってしまっても、まいと出会ってからは殺人以外で歩み寄ることができたこととその変化をみきおが受け入れられたのは、みきおが他人と関わりたい、他人を愛したい、愛されたいと願っていたからではないかなと考えたりしました。)

・まいからどんな呼び方をする?と聞かれて、みっきーを選ぶみきお、応援したすぎです……頑張れ!
(あと私はこんな呼び方どう?とされたら、「ふひ……へへ、どれでも……」とか言いそうだなと自分に絶望しました。素直に答えられるみきおが本当にすごい……)

・監督が自分の出演したユーチューブの映像を見てニコニコしているのも俗世的な雰囲気で好きですが、みきおへの接し方が「みきおは単なる原案提供者で、今は監督の自分が偉い」とかではなくてしっかり創作者として向き合ったうえで尊敬しているのが分かって好きです。
あとみきおが話すのに合わせて監督が「こうでは?」と話してくれるのがかなり肯定的で、実はみきおは以前から悩んだり、困ったりすると監督のところに話に言って自分の考えをまとめたりしていたのかもしれないな……とか妄想していました。

・みきおと監督ってどこで出会ったんだろう……もし同人即売会だったら、そこで一緒に同人誌を作っていてくれ〜!みきおさん、同人誌をやりましょう!あと個展!みたいな世界線があったのかもしれないと思うと、殺人を選んだのが辛すぎます……
(生まれついて残虐性があるのではなく、過去の傷で他人を傷つけてしまう行動や手段を選んでしまうのは本来生まれ持った気質ではなく、後天的に歪められた性質で本人も望んでいないのに……と辛くなります。生まれついてでも、他人を傷つけていい理由にはなりませんが。)

・監督がすごく優しそうなのでカイニたちの声優さんたちからサインをもらってみきおに渡していたりすると嬉しいですね、私が……と妄想していました。

・みきおにメイクをするまいのやり取りが美しくも、やはり私は男性が女装(柔らかい感じのメイクをする)のが好きすぎて「うわ〜!!!かっこよすぎる……!!!きれい……」と最高になりました。
何かの神話を描いた絵画みたいな神聖な雰囲気がありながら、どこか背徳的なくらいの美しさがあって見ているだけでどきどきします。

・上映後の挨拶で、パンツ男さん(監督さんたちがこう言っていたので……)がまいとハグする場面も取っていたとのことで、まいがみきおにメイクする場面ではパンツ男さんとスタッフさんがカラオケで歌って赤と青の照明で部屋を光らせていたと聞いて爆笑しました。
確かに音がない場面ですが、そんな面白いことでそんな最高の演出を作り上げていたなんて……!!?!
メイキング映像が見たすぎです。

・踏まれる人形を見るまいの視線に、まいがまだ過去に囚われているのだな……と悲しくなります。
(また幸せそうな子どもにコンプレックスっぽいものがありそうなのも辛いです。)

・公園でクレープ食べながらも、一緒に自撮りをするのが仲良しすぎて最高です。
ずっとこんな平和な時間が続いてほしいです……

・まいへ人造魔法少女カイニの説明をするみきおの声がいきいきしているなと気がついて、嬉しくなりました。
自分が好きなものを相手にも分かってほしい、自分の好きなことを相手に教えられるくらい信頼している、みたいなみきおの感情がセリフなどになくてもよく分かる場面で、すごく応援したくなります。

・あれも人造魔法少年シンジだよ!と言うみきおがオタクで笑顔になりました。
オタク、そういうのをすぐ言っちゃうのですごく分かってしまって……
(あれとあれは関係のある作品で〜とかめちゃくちゃすぐ語り始めるので。)

・みきおへのまいの返事(アニメとかは創作だから何をしてもいい〜みたいなセリフです。)が、めちゃくちゃ理解が深くてこんなに優しく接してもらったら好きになってしまう……!と思いました。
(この作品は悲しい、嫌な人間関係もすごいので、すごく誰かを気遣う様子や雰囲気を映したり、演技をしてもらうのもすごいのかなと勝手に思いました。)
(これをやられたらこういう理由で嫌だよね、を言語化できているから、こうしてくれたらこういう理由ですごく嬉しいよね、も表現できるのかなみたいな感覚です。……上から目線すぎて失礼ですが……)

・Jの仕事中のパワハラの場面での「トークが勃起しない」みたいなセリフは、2023年に見た映画で気持ち悪いセリフ一位でしたが、2024年もトップを独占しそうです。
本当にセリフにセンスがありすぎるし、セリフのテンポもよすぎるし、最悪な場面なのに最悪が重なり合って短い場面なのにすごく印象が悪いのがすごいです。
奥寺の上っ面の人のよさとパワハラの切り替わりが怖くて……

・上映後の挨拶で、Jと奥寺が共依存で……という裏設定を聞いた瞬間に「えっ、……二次創作ができそうな設定が出てきた……」と驚きのあまり思考が停止しました。

・奥寺の設定を聞いて「あっ!ぽい!!」とめちゃくちゃ笑ってしまいました。
この作品に出てくる人物の解像度というか、キャラクター、性格みたいな作り込みや「現実にいそう」な感覚がすごすぎてすごい……

・それはともかく、Jは仕事をやめよう!「へへっ、自分が仕事をやめて現場をめちゃくちゃにしてやろ〜!」くらいののりでやろう!楽しいよ!
いや、本当に……そんなやつ殺すより楽しく生きようよ……同人誌とか作ろうよ……

・パンツ男が下着を受け取ったときの「あったかい」も2023年に見た映画で気持ち悪いセリフ一位に近いです。2024年も一位に近いです……
ここでのまいの声が沈んでいて、気がつけよ……!やめろよ……と思いました。
(経済的にできるからってこんなことしないで……せめて、お金だけ渡して友達とパフェでも食べに行って写真を送って、パフェの写真だけでもいいから……十分に気持ち悪いけど……と思いました。)

・みきおたちが自分たちを洗濯機に例えるところで、『攻殻機動隊』の草薙素子が廃水処理機に例えた場面を思い出しました。
彼らにとってコスプレ殺人の活動は、この現実の誰かを別の世界に変身させてあげることで、この現実も殺した世界もいい世界にしてあげる「善」を目指す活動なのだろうな……と思います。
(殺人の対象になるのはまいを襲った人が犠牲になったところで悪人とみきおたちに認識された人なのかなと思いましたが、男性一人と女性二人が殺されたと想像させる場面で「どうなんだろう……」と考えています。)
(男性一人と女性二人が殺されたと想像させる場面のカレンダーが2003年だったので、何か複雑な事情があった家だったのかなとか考えています。)

・みきおたちがするスカイプで、かながみきおのところに来たときにみきおがスカイプを相手の話している途中に切るのが「まいが来たからか? まいと比べると、仲間はもう優先度が低いのか……?!」か「誰も来る予定はないのに……誰だ?!警察か?!」のどちらなんだろうと気になります。
前者だったら、仲間がかわいそうだなと思ってしまって……
(私は、サークルなどで誰かと誰かが付き合っているなどがまったく分からないタイプなので、なおさら悲しくなりました。鈍くて周りに気遣わせるのが申し訳なくて……)

・改めて見ると、かなが邪悪すぎて怖くなります。
なんでどうしてこんな人を見下す以外のコミュニーケーションができないんだろう……
(でも、たまにいますよね、こういう人……とも思います。)

・みきおの部屋にアクリルスタンドフィギュアがあって、「あっ、オタク!分かる……(勝手にオタクとして同類と思い込む)」と感じました。

あとみきおの部屋はオタクでも安心できる明るい感じのオタクの部屋で、なぜかとても好きです!

・かなの死後、泣いているまいと真実を話せないみきおを見て「やはりどんな悪人でも殺すのはよくない……」と思いました。
でも、まいにかなの真実を伝えたうえであんまり仲良くしない方がいいよと言えるかというと、絶対に言えないです……

・絆創膏を貼ってもらう場面がすごく優しくて好きです。
誰かに傷を手当てしてもらう、すごく簡単でもとてもありがたい行為だよなと改めて実感しました。
(あとどれだけ傷があったとしても、誰かが偶然でも傷を手当てしてくれることもある、分かりあえなくても手当てして一緒にいたという思い出はできるから、前に進むこと=変身できる魔法になるのかも……と想像しました。)

・傷をつけ合う場面で、血が滴り落ちて混ざるところが耽美に見えて「これ……見ても大丈夫ですか?」とどきどきしました。
二人がお互いをとても大事にしていて、傷を埋めあいたいと想う優しさが美しすぎて……泣いてしまいます。

・最後の殺人の場面ですが、やっぱりアクションがすごくて最高です!
蹴りがきれいで、武器の振り方も生々しくてすごいです!
あとみんな、腰が入っているというか、「戦えない……怖い……」ではなく「自分のやりたいことを達成するために殺す」と覚悟を決めたためらいのない動きで何度見てもどきどきします。

・アクション映画が好きなのでいろいろ見ていますが、ひとくくりに映画のアクションといってもいろんな文脈に合わせたアクションが見られると、作品とアクションがお互いの魅力を引き出し合っていてすごく好き!と感じます。
見栄えのいいアクション重視のコメディ、重々しいアクション重視のサスペンス、殺すためのアクション重視の本格アクションなどありますが、『PARLELL』は「殺すという目的があり覚悟を決めて練習してきた人たちが、裏切り者と対峙して追い詰められてする動き(みきおにとっては、抵抗するなら容赦なく殺すための動き)」という雰囲気があってあってすごいです。
アクションの雰囲気一つとっても、映画の雰囲気と噛み合って最高の雰囲気になっている気がします。

・パンフレットでもアクションについて書かれていて、すごく嬉しかったです。
微妙なアクション映画より、この作品の方がずっとアクションに真摯な気がするので……
(他の作品と比較したような書き方で申し訳ありません。)

・みきおを演じた方が武術経験者とパンフレットで知って、「な、なるほど……道理で動きがとてもおきれいで……」と思いました。
アクション映画に出てほしい〜!となりましたが、これは私がアクション映画のオタクなので……アクションがきれいな方を見ると、どうしてももっと見たい!になってしまい……

・みきおがみんなを殺そうとしていたのがばれて、襲われたときの告白もまいとみきおのやり取りを知っていると、より身に染みて聞こえました。

・最後の場面で、みきおはまいと出会って本当によかったと泣いていました。

・みきおとまいが傷をつけあったことで、二人は変身願望(みきおは人造魔法少女カイニのような創作世界への変身、まいは自分の価値を確かめるような変身と解釈しています。)が変わって現実の世界へと変身して生きてみたいと思ったのかなと私は考えました。

・監督がみきおに言ったように、まいと出会ったことに意味や変化があってよかったです。
(それまで信じていたものに固執して、自分を変化させようとするものを憎む場合もあるので……)
(みきおがまいを自分を変化させてしまう存在と感じながらも、その変化をみきおは受け入れてまいが傷を見せてくれたのに応じて自分の傷をさらけ出そうと行動してくれたのは「愛(隣人愛とか、友愛とか、恋愛の他の意味も含む愛かもしれません。)」としか言いようがないなと思いました。)

・最後の場面にいくつかパターンがあったと聞いて、そんな全部見たい!と思いました。強欲なので……
演者さんと監督がいろいろ物語を作ったと聞いて、こうやっていろいろな人が影響しあって、この作品を作り上げたこと自体がこの映画のタイトルみたいだと感じました。

・最後にみきおの手を握るまいの場面は本当に美しくて、とても好きです。
今まで見た物語の中でもすごく美しくて、人の善とか、優しさ、影響を与え合って生きている人々、いろんな人が出会う偶然をきれいだと、この最後を見ると思います。

・『人造魔法少女カイニ』は本当にカイニたちが美しく、かっこよくて、最高で、何度見ても大好きです!
見た目ではなく、彼らの生き様や覚悟がすごく好きです。

・もし『人造魔法少女カイニ』が現実で放送されている世界であったなら、私はカイニたちの二次創作をしていたに違いないな……と思いました。
別冊のパンフレットも本当にすごい内容で、作っていただき本当に感謝です……

・上映後の挨拶はいろいろ聞けてすごく面白かったです!
特に最後で映画の宣伝をする映像をアドリブで撮るところとかが、オフラインとオンラインでいろんな人が繋がった今しかない空気感で最高でした。

・『PARALLEL』の前に監督の過去作も見ていたのですが、それも含めて楽しかったです!

 

 

『THE TOUCHER 寂しすぎて、超能力に目覚めてしまいました。』の感想

・自分が家から出たくなかったときの感覚を思い出しました……なんか、すごくリアルで……

 

・超能力に目覚めてから、ネットを介してどんどん活用して広がっていく人脈のところが「YouTubeでありそう!」と面白かったです。

オカルトが好きなのでそういった系統のユーチューバーを見ているのですが、この作品を見たときにYouTubeの雰囲気が分かってよかったです。

 

・ただ私はネットでも信頼は大切だと考えているのですが、コラボしようとか怖くないですか……!?横島津さん、気をつけて!(誰目線?)と思いました。

 

・コロナ禍中に撮影された作品とのことですが、撮り方がすごく工夫されていて「ん?もしかしてこって、製作陣がみんなを撮影しに行っているのではなくて、みんなが自分を撮影しているのか!」と最後のエンドクレジットでようやく気がつきました。

 

・首絞めのところは、横島津さんも「こういう依頼があって~」と説明できるように依頼のときは最初から最後まで録画しておくといいですよ……と人を信じていない視点で見てしまいました。

(横島津さん、人を疑えないのが優しさとも、それでかつて傷ついてきたのかなとも想像されて辛かったです。)

 

・横島津さんの首絞めのあとで、過去に依頼をした人が手のひらをひっくり返していて笑いました。手のひらのひっくり返し方がありそうかつ、「思い込みだよ!」と突っ込みたくなるのが面白すぎです。

 

・横島津さんが超能力で何かが変わるかなと期待していたのと、人は怖いけれどずっと一人は寂しいから誰かと友達になりたいという気持ちの説明が少ないのに、すごく伝わってきてすごかったです。

傷つきたくないけれど、誰かといたい、その相反する気持ちを持って超能力で挑戦していく横島津さんはかっこよかったです!

 

・最後に外に向かって横島津さんが超能力を使うところで、何をしたのかわくわくします。

みんなに見てもらいたい何かで、外には出られないけれどみんなが少しでもつながれる気持ちになれるといいなと思いました。

 

・横島津さんのお部屋のことや、衣装のことが上映後挨拶で聞けてとても面白かったです!ほぼそのまま私物(本人のお部屋)を使用しているなど、劇場でしか聞けない裏話で最高です。

 

 

三回目の感想

※三回目以降の感想です。

・パンフレットを読んで、まいの衣装の一部は俳優さんの私服と知ったため「私服、どれなんだろう……」「みんなかわいいし、似合っていてかわいいな〜」と思って見ました。

・今さら気がついたのですが、みきおが殺した家族っぽい人たちってヤクザ(?)とヤクザに呼ばれた女性陣とかなのかななどと考えていました。

・みきおがまいの似顔絵を描くところで、しっかりうまくて「同人誌、同人誌をやりましょう!」と思いました。
コスプレ殺人ではない方向で創作の才能を発揮して、過去の傷を乗り越えられれば……と私は考えてしまいます。
シリアルキラーが描いた絵や遺体で作った家具などありますが、やはり合法の範囲内で健康的に創作をしてください……と願ってしまいます。)
(作品の終わり方も素晴らしいのですが、みきおとまいは健康に、元気に、毎日幸せに一緒にいてほしい世界線もあってほしいので……)

・バーでみきおがまいの右手を取ってアクセサリーを褒めるところが「あっ……」となりますが、みきおの人との距離感の取り方に慣れていない雰囲気が出ている気がして好きです。
あとまいのアクセサリーがHUNTER×HUNTERのクラピカの念能力みたいでかっこいいな〜といつも思います。
(自分の身を守るためにああいったアクセサリーなのか、それとも無意識に縛られているみたいな比喩なのかなとも思ったのですが、かっこいいな〜!を一番に思ってしまいます。)

・監督の家にふらりと行くみきおをあっさり家にあげる監督に、「監督、家の掃除とか常にしてます……?!すごい……」と思いました。(家に人が来る前は掃除をするタイプなので。)

・監督の家ですごく気の抜けたというか、あたりをきょろきょろ見回したりするみきおの様子に、こういう一面もあるんだなと思います。
まいやコスプレ殺人の仲間にすらあんまりこういう表情をしていない気がするので、監督はみきおにとって創作仲間として最も信頼しているのかなと想像しました。
(監督がみきおに初めて出会ったときや、夜中に急に監督の家にみきおが来て「ふらふらじゃないですか?!」「急にふらふらして、困って……」「徹夜してます?あとご飯食べてます?」「徹夜してる……ご飯、食べてない……」「今からおかゆ作りますね!」みたいなのが見たい……と考えていました。)
(自分でもなんで監督+みきおで妄想しているのか本当に謎ですが、この二人はもしみきおに過去の傷がなければ一緒に同人誌を作ったり、人造魔法少女カイニを作ってほしいので……。そして、人造魔法少女カイニを見たまいとみきおが出会って仲良くなるのを傍で監督が見守って祝福していてほしいですね……)
(あんまりにも行き過ぎた妄想に、「わ、私は一体何を考えて……?」と思っています。)

・みきおとJが話しているところで、みきおがJの言った洗濯機にしか反応していなくて「会話が成り立っていない……」と笑いました。
JもJで、こう……サリーさんから相手にされていないかも?!とか気がついて距離を取ったほうがいいですよ……

・Jって依存気質がありそうというか、他人の強い考えに惹かれて従ったり、他人の意見を信じて行動するのは向いてそうだけれど、自分の考えで動くのは苦手なのかも?と考えました。
Jと奥寺が出会って共依存になるのはなんでだろう……と考えてみたら、就職に失敗したJが泣きながら歩いているのを奥寺が見つけて「ふん、そんなだから自分を負け犬と卑下して勝手に負けた気になってんだよ!これから、少しずつ見返せばいいのに!とんかつでも食べ行くよ!」とか連れ回した縁でマネージャーに雇ったとか?と思いました。
私は一体何を……?(二回目)

・そう思うと、コスプレ殺人鬼に賛同した他の人も自分では言い出さずに一人でやっていたみきおについていったのかな……と思います。

・みきおがまいにメイクをしてもらうカラオケの場面が、裏話のおかげで「スタッフと柳さんが実はカラオケしているおかげで赤と青の光がきらきらしているんだ」と思いました。
アイドルの方がプールでの写真撮影のため、水飛沫をつくるためにプールの傍で待機していたガタイのいい方を思い出しました。
世界ってさり気ないことで美しいものができあがっていて魔法ってどこにでもあるのかもしれませんね……(?)

・みきおがまいを部屋に連れてきて、「一緒にみる?!」とアニメに誘う声が元気で、すごく好きです。
オタクが同じ趣味の人を見つけてめちゃくちゃ喜んでいるのがすごく伝わってきて、私は大好きです!
(私も知り合った人が同じものに興味がありそうだと、声がすぐ変わってしまうので。)

・かながみきおに真実を話すときの、他人の顔色と悪意を表情や態度で窺って、話し方などが怖かったです。
自分の価値観ではなくて、社会とか集団での上下関係や自分に対して利用価値があるかないか、みたいなのを一方的に見定めている誠意のないコミュニーケーションという感じが……
(自分の価値観で他人を判断するのがいいとは思いませんが、自分の芯がなくていかに使えるか、面白いかしかなくて、自分以外をうっすら見下している怖さがすごかったです。)

・虐待から逃げればいいって最悪すぎて……
でも、現実で言われるリアルさもあり……
(そう言う人は逃げる先がないこととか、そもそも逃げる考えさえ放棄させられるくらい追い詰められているとか知らないんだろうなと思います。)

・みきおに傷をつけてもらった痕を、帰り際に笑顔でみつめるまいに気がついて「お互いに理解して、お互いを大切な思い出として残しておきたい二人が尊い……」と思いました。
傷をつける、つけあう行為は自傷として忌避されがちですが、自分のトラウマや縛られている過去の記憶を見つめ直して向き合うのであれば、どんな行動でも一概に否定するのではなくて尊重や理解をしたいと考えたりしました。

・Jを叱責する奥寺の「ふん!」が想像以上に「こ、こういう上司や偉そうな人、いそう!!」と思えて笑いました。
この作品に出てくる人たちみんな、「な、なんか、現実にいそうですね……!」感が強くてすごいです。

・まいが汚れた体と言うのに対して、みきおが「カイニみたいだね」という素直で真っ直ぐな一言と、そのまきおの一言がまいに「みきおはカイニが大好きで、最上級に好きなものと同じところに自分を置いてくれた」と伝わっていて、もしかしたら殺して殺されたかもしれない関係だった二人が大切にしたいとお互いを思いやれる関係になっていて、本当にここの場面が好きです。

・あと「変身だね」もみきおが他人に殺人を介して強引にさせていたのとは打って変わって、これほど優しく傷を上書きして過去に抗おうとしているのも本当にかっこいいです。
「変身させてやる」が、「変身したい」になるのは他人を理解せずに変身させていたのが、他人を理解してお互いをお互いに大切にして変わっていけるみきおの内面の変化なのかも……とようやく気がつきました。

・まいの涙を拭うみきおと、涙を拭ってもらうまいが、お互いに想い想われているのがすごく伝わってきて、ここの場面もすごく好きです!

・言葉には、一般的な語彙とごく内輪で発生する文脈から本来とは別の意味で使われるものがあると思うのですが、みきおが自分なりに大切な意味を持たせて使う「カイニ」「変身」がまいにも特別な意味で言ってくれていると伝わるのがコミュニーケーションの中でも美しくて、お互いが理解したい、思い遣りたいと考えているのが分かって好きです。
(なぜなら、内輪のりの言葉やその人が独自で特別な意味をもたせた言葉は、気をつけて使わないと正しく相手に伝わらないうえ、相手に受け取る気がなければ流されてしまうため、私には『特別なコミュニーケーション』と映って見えます。これって……私の単なる性癖なのでは……?!)

・バス停の人造魔法少女カイニのポスターに、これ現実で見たすぎる……!えっ、人造魔法少女カイニって放映されていない?!と現実をとうとう否定し始めました。

・三回目で(武器を持っているみきおが職質されませんように……)と祈り始めました。
ここで職質されたら大変だな……と考えてしまうので……
(今まで無事に犯行を重ねられているので、そのあたりの対策やそもそも職質されないように気をつけているとは思いますが……)

・壇上に上がった三人に思いきり走って詰め寄って行く場面はBGMが消えて武器の立てる音にぷつんと切り替わるのと、壇上に走り寄る勢いがすごく早くて本当に殺すんだ、殺意って怖い……!とぞくぞくしました。
ホラー映画でもここまでぞっとさせる殺意、敵意みたいな刺々しい感覚はなかなか見たことがなく、本当に絶望しながら見ています。
(なぜか殺される側で見てしまいますが、ここの場面はあまりにも殺す側の決心と行動の思いきりのよさがすごく伝わってきて、見ているだけでも「あ、殺されるんだ……」と感じてしまいます。)

・何回見ても蹴りがきれいで、武器の振り方もめちゃくちゃきれいで……?!最高です!!!
最高なアクションは何度見ても最高なので!!!

・それにしても……なんで人の荷物を勝手に見るんだ?!
私もやられたことがありますが、本当に不愉快です。
(しかし、この場合は自分が殺されるかもしれない情報があったのなら致し方ない……とも思います。)

・改めて見ると殺し方ががっつりホラー映画の恐ろしい殺し方で、見ていて手に汗を握ります。
目の前に回転する電動のこぎりがあって、あと少しで手持ちの武器が切断されて顔と頭を切断される……さ、最高です!!(ホラー映画が好きなオタクの感想。)

・生きている意味が、みきおの行動を変えてしまったまいからみきおに返ってくるのが、世の中で人と人は理解できなくても偶然と誰かを大切に想うことで魔法みたいな出会いとして起こるのかもと信じたくなります。
(自分は悲観的で、ネガティブかつ鬱寄りの思考で、いろいろ大変だった時期もありましたし、今でも大変になるときはありますが、こうして自分の考えを少し変えて前向きに何かを信じたい気持ちにさせてくれる作品に出会えたことで生きられている気がします。)

・「死んでください」と言われることに対して、ずっと言われてきたらしいみきおの過去を想像して、辛くなってしまい……
(ここで殺人をしてしまっている人物に対しても、善悪抜きにもし傍にいることが許されるのならハグをしたいし、温かいご飯を作って、温かい布団で眠ってほしいですと思わせる物語と、人物の繊細な心情の描き方がすごいと改めて思います。)

・最後の最後に、みきおの傍に誰かがいたこと、まいが彼の傷を見てもほほえんでくれたこと、たくさん辛いことがあってもとても温かくて優しい作品だと感じます。
(言葉にはできないのですが、言葉にできないからこそこの物語を介して生まれる感情があるのだろうなと感じます。)
言語化できない感情が出てくる作品が私はとても好きです。なぜなら、物語とは言葉にすると難しかったり、うまく言葉にできない何かを表現するためにあるのではないかと考えているからです。)

・三回見ても無事に「カイニちゃん、がんばれ〜!!!」と思いました。
女児向けアニメにほぼ興味なく今まできたのに、ここで魔法少女を心から応援している自分に「人生、何が起こるか分かりませんね……」としみじみ思います。
許されるのならペンライトを振りたいです!

・まいに対してカイニが言う「傷は魔法になるから」というセリフは何度聞いても本当に泣いてしまって……

・人造魔法少女カイニのアニメーションが好きすぎて、本当に……アニメがあってほしい……現実で放映していない……?そんな……

・最後にまいの手の甲の傷が治っていて、絆創膏が剥がれていてもみきおの思いは確かにまいの傍に残っているんだ……と感じて、とても素敵な終わりだと思います。最高……!!

 

 

『チャンゲ』の感想

・大学で撮ってそう?サークルとかで撮影したのかなと思いましたが、完成度が高すぎて監督や映像系の道を志す方ってすごすぎでは……(スタッフへの協力とか、脚本ややりたいこととかの説明、機材の準備とかいろいろやることも多そうなので考えるだけで大変そうです。)

 

・と思っていたら、上映後の挨拶で「ここまで撮る人は少ない」旨を聞いてそうなんだ……とも思いました。

まるで同人誌みたいで……

(本を作ったり、ネットで作品を公開する人は100人中1人くらいとか噂で聞きます。そ、そんな……100人中100人くらい、何か書いたりしてしまうのでは?)

 

・漫才やろうぜ!というしゅんやくんがいい人すぎて、私なら「恥ずかしいけど、やる……」と言ってしまいそうでした。やりなよ!でも、やりたくない気持ちも分かります。

 

・主人公の二人のやりとりがテンポもいいし、仲がよさそうだし、しゅんやくんは住んでいたマンションを解約して主人公のところに押しかけていて……!?面白すぎるし、捨て身すぎるし、断られたときの「えっ、拒絶するなんて」みたいな絶妙の空気感がすごすぎです。

 

・しゅんやくんは病気とか、隠し事がありそうだなと思っていたら、後半からのフラグ回収とどうしようもない感情のぐちゃぐちゃ感がすごかったです。

ついでに、ふられるし、三角関係も明かされるし……

本当にしゅんやくんはどんな気持ちでいたんだ……

 

・しゅんやくんがいなくなってからも、前に歩いていく主人公の場面が他の作品ともつながっていて、重い出来事を乗り越えて進むのが根本のテーマなのかなと勝手に考えていました。

 

・エンドクレジットで個人宅が出てきて最高でした。

本当に人が頑張って作っていると分かることは嬉しいというか、「お金も、人手も、場所もない!」とうだうだやらない理由を探す人より、「お金も、人手も、場所もない!でもやるぜ!!!!」みたいな気概が伝わってきて私はとても好きです。

 

・あと『FILAMENT』の主人公がこちらの作品の主人公でもあるため、勝手に感慨深く見ていました。

 

・学生が映画を作っているとき、やる気のある新入生がうまくいかない撮影に技量不足を認めずに喧嘩してしまうのがあるあると上映後の挨拶で聞いて(そ、そんな、あるあるなんだ……)と思いました。

それだけ、大人数で作り上げるのは難しいんだなと実感します。

 

 

『FILAMENT 新編集版』の感想

・橋のふもとで話しかけた高校生を置いていく主人公、お前……!!!

状況から仕方ありませんが、連絡先を渡すとか、あとで戻るから!とかしておけば……

(手を差し伸べられかけて引っ込められた絶望と、復讐がいじめという暴行をした相手ではなくヒーローに向いてしまう心理が辛くなります。)

(また私はどちらかというと、橋の高校生側の立場なので主人公……!!と思ってしまいます。)

 

・酔っ払いおじさんがあとでしっかりフラグ回収されていて、「脚本、うますぎでは?」とびっくりしました。

お金をかけたシネコンの映画でもここまでいろいろ見事に噛み合った作品は見られないのでは?

 

・主人公と恋人の場面は少ないのに、恋人を喪った絶望感と「これ、本当に卒業制作ですか!?」となるリアルな舞台に理解が追いつきませんでした。

 

・同好の士を探すのであれば、作品の感想を言っている人を探して、いいねして、コメントを送れば大丈夫だよ!君なら大丈夫……誰かがいるよ!と応援したくなりました。

メッセージやリアクションを待っている人に対して何も来ない状況は、関係ない人でも見ていて悲しくなってしまうので……

自分からメッセージを送ろう!!いいねだけでもいいから……待っていても意外と同好の士は来ないから……(誰目線の感想?)

 

・主人公のアクションシーンがやはりかっこよくて、最高です。

アクションが最高な映画は本当に最高なので。

 

・夜道でスマホいじりながら帰ったり、さらに人気のない公園とかに入るのはなおさら悪手ですよ!気をつけてください……(誰目線?)と思いました。

 

・誘拐犯がやっていることが最悪すぎますが、足にドリルは私も好きなので「こいつら最悪だけど、私も最悪だ……」と思いました。

(現実では絶対に人を傷つけたくありませんが、ホラー映画を作っていいのなら絶対にやります。)

 

・悪人とは一体何なのか、ヒーローとは……と考えさせられる展開と、最後に「夜明けは来るのかな」で終わる悪人の「闇に潜んで世を恨むしかできなかったけれど、本当はここから出たかった。こんなことは本来望んでいなかった」という考えが伝わってくるようで辛かったです。

(ただ悪いことを「悪いがヒーローの出現を望むためしている」と理解しているため、「過去にこんな辛いことがあったから……悪いことをしても仕方がないんです!」みたいに自身の行いを正当化したがる悪人より個人的にはずっと印象がいいです。)

 

・ヒーローに救われないから、救われるために(救ってくれるとヒーローを信じるために)悪人として徹底的に悪人になるのは悲劇ですが、ここまでしないと誰かに助けてと表現できなかった苦悩も分かってしまって辛くなります。

セルフネグレクトをしてしまうときがあるのですが、もしかしたら誰かに助けてほしいのかもしれないなと見ていて気がつきました。)

 

・繰り返しになりますが、アクションが本当にきれいで……好きです!!!

 

・また監督作品に続けて出ている方も分かって、「あっ」と気がつくのも含めて楽しかったです。

これからも頑張って作品を作っていってほしいので、ぜひいろんな方にもっと監督の作品を見ていただきたいです。

 

・上映後の挨拶で、卒業制作提出期日のぎりぎりまで学校にいる許可を取って、夜日付けが変わるまで頑張ったエピソードを聞いて、学生の限界まで頑張る話ってやっぱり聞くと好きだな……と思ってしまいました。

(限界まで頑張るとあとでガタが来るので美談にはできませんが、ぎりぎりまで頑張る話はやはり私も頑張ろうみたいに勝手に元気をもらってしまいます。)

 

・また上映後の挨拶で、学校ではCGなどの授業がなかったので自分でいろいろできるようになったという話を聞いて「た、確かに、どの作品でも監督がすごくいろいろな役割をされていました……」と思いました。

あんなに監督がいろいろやっていて驚いた作品は『JUNK HEAD』以来です。

CGなどもできるようになって~というお話を聞いて、私も同人誌を作っているおかげでなぜか文章を書く以外に版組、画像編集までできるようになっていたので、勝手に共感してしまいました。